「オイルの減りが早い気がする」「中古で買った車、エンジンの中はどうなっているんだろう」。そう思っても、エンジンは開けない限り中が見えません。
実はプラグ穴から内視鏡カメラを入れると、分解せずにシリンダー内部の状態をある程度確認できます。
私は元自動車整備士で、【30年間、現場でエンジンを見てきました】。この記事では、整備の現場での経験をもとに、プラグ穴から内視鏡カメラで点検する手順と、見るべきポイントを解説します。
内視鏡カメラで何が分かる?何が分からない?
分かること
- シリンダー壁の縦傷(スカッフィング)
- ピストン頂面のカーボン堆積
- オイル上がり・オイル下がりの痕跡
- ピストン頂面の汚れ方から、燃焼状態の傾向
分からないこと
- 圧縮圧力の良否(これはコンプレッションゲージで測る)
- 見えない範囲の摩耗量
- 内視鏡で見えた傷が、実際に不調の原因かどうか
見えた=故障」ではありません。内視鏡は判断材料の一つで、最終判断は圧縮測定などと合わせて行うのが基本です。
関連記事:エンジンのコンプレッション測定方法|正しい測り方と基準値・低い原因まで解説
ただし、内視鏡だけで不調の原因を断定することはできません。
ピストンの頭部が異常に濡れている場合でも、考えられる原因は一つではありません。オイルで濡れていればオイル上がりやオイル下がり、ガソリンで濡れていればスパークプラグやイグニッションコイルの不良による失火、インジェクターからの燃料の出すぎ、圧縮不良などが考えられます。
それでは内視鏡カメラは意味がないのでは?と思われるかもしれませんが、そうではありません。私が整備士時代にも、内視鏡カメラを使うことで原因を絞り込めた場面はたくさんありました。
例えば、4気筒エンジンで2番シリンダーが失火している場合、シリンダー内を内視鏡カメラで覗いてみます。ガソリンで濡れていれば、燃料は来ているのに燃えていない、つまり点火系や圧縮に問題がある可能性があります。逆に乾いていれば、燃料が来ていない可能性があり、インジェクターや配線などを疑うきっかけになります。
このように、内視鏡カメラは原因を断定する道具ではなく、点検の方向性を決めるための道具です。プラグの状態や圧縮測定などとあわせて判断することが大切です。
オイルの減りが気になるときなどは、マフラーの白煙はオイル上がり?オイル下がり?見分け方と原因・症状・対処法を元整備士が解説の記事を参考にしていただければと思います。
内視鏡点検をおすすめする場面
内視鏡カメラでの点検が役立つのは、次のような場面です。
- 中古車を購入した後:走行距離が多い車や整備履歴が不明な車は、購入後すぐにシリンダー内の状態を撮影して残しておくと、今後の変化を比べる基準になります。
- オイルの減りが気になるとき:ピストン頂面の濡れ方やカーボンの付き方を見ると、原因を絞り込む手がかりになります。
- 整備工場に相談する前:撮影した画像や動画があれば、症状を正確に伝えやすくなります。
用意するもの
- 内視鏡カメラ(先端径はプラグ穴に余裕を持って入るもの)
- プラグレンチ、ラチェット、延長バー
- エアダスター(作業前のゴミ飛ばし用)
- 清潔なウエス
- 車種の整備書(プラグの規定トルクの確認用)
- ワークライト(作業用)
作業前の安全対策(必ず読んでください)
- エンジンが完全に冷えている状態で行う(熱い状態でのプラグ脱着は火傷のおそれがあります)
- 作業前にプラグ周辺のゴミをエアで飛ばす。外した瞬間にゴミがシリンダーに落ちると、エンジンを傷める原因になります
- 内視鏡や工具、ウエスをシリンダー内に落とさない(紐やテープで固定する、ケーブルをつかんだまま作業する)
- 内視鏡を入れたままエンジンをかけたり、セルを回したりしない
- 点火系は、車種に応じてバッテリー端子を外すなど対策を行う
手順
- イグニッションコイルを外す
- プラグ周りをエアで清掃する
- プラグを外す(外したプラグの状態も一緒に確認)
- 内視鏡カメラをスマホに接続し、動作確認をしてから穴に入れる
- ゆっくり挿入し、ピストン頂面とシリンダー壁を確認する
- 壁面を見るときは、クランクを手で回してピストン位置を動かす
- 撮影後、プラグを整備書の規定トルクで締め付けて元に戻す
スパークプラグの外し方は、日産デイズを例にして「日産デイズのスパークプラグ交換方法 DIY初心者でも簡単!」という記事で解説しています。
見るポイントと状態の見方
| 見え方 | 考えられること |
|---|---|
| 壁面に縦のスジ傷 | 異物の噛み込みや潤滑不良の可能性 |
| ピストン頂面が厚いカーボンで覆われている | 短距離走行が多い、燃焼状態の傾向 |
| 湿ったオイルの付着 | オイル上がりの可能性(バルブシール、リングなど) |
| 一部だけ異様にきれい/白っぽい | 冷却水の混入などを疑うきっかけ(要追加点検) |
*上記については目安と考えてください。
撮影のコツ(画質編)
- 金属面は**ライトの反射(ハレーション)**で白飛びしやすい。ライトの明るさを下げる、角度を変える
- 先端を壁面に近づけすぎるとピントが合わない
- 動画で撮ってから、見やすいコマを静止画にすると失敗が少ない(動画保存のある機種)
エンジン点検に向いた内視鏡カメラの選び方
- プラグ穴に入る先端径か
- ケーブルの長さと硬さ
- スマホ対応(iPhone/Android)
- 防水・耐油
*内視鏡カメラをモニターで見るか、それともスマホで見るかによってどちらが自分にとって使いやすいかを良く考えて選ぶことが大切です。
ちなみに私はこちらの商品を使っています。
↓
よくある質問
Q. 安い内視鏡カメラでもエンジン点検に使えますか?
先端径がプラグ穴に入り、ライトが十分に明るければ、点検自体は可能です。ただし、耐熱・耐油の性能が明記されていない製品は、エンジンまわりでの使用に注意が必要です。必ずエンジンが冷えた状態で使い、仕様を確認してください。
Q. 点検はどのくらいの頻度でするとよいですか?
決まった周期はありません。購入直後の記録、オイル消費や不調が気になったとき、走行距離の節目などで十分です。前回の画像と比べられるように、同じ角度で撮影して保存しておくと便利です。
Q. 傷が見つかったら、すぐ修理が必要ですか?
傷が見えても、すぐに修理が必要とは限りません。圧縮測定やオイル消費の状況とあわせて判断するため、整備工場に相談してください。
Q. ターボ車やハイブリッド車でもできますか?
基本の手順は同じですが、車種によってコイルやプラグへのアクセス、安全上の注意(ハイブリッド車の高電圧系など)が異なります。必ず整備書で確認し、不安な場合は作業を控えてください。
まとめ
内視鏡カメラを使えば、分解せずにエンジン内部の状態をチェックできます。ただし、見えるのは一部で、判断には圧縮測定などの追加点検が必要です。気になる症状がある場合は、整備工場に相談してください。
内視鏡カメラでシリンダー内部を覗いた時にシリンダーに傷があったり、ピストン頭部にオイルが多く付着していたりする場合には、修理費用が高額になってしまう時も多いです。
👉車の修理で高額な費用がかかる場合は、思い切って買い替えを検討するのも一つの方法です。
年式が古い車や走行距離が多い車は、修理を繰り返すよりも買い替えたほうが、結果的に費用を抑えられるケースも少なくありません。
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