「ブレーキを踏むと車が左(右)へ寄ってしまう…」
「古い車だから仕方ないのかな?」
ブレーキを踏んだ瞬間にハンドルが左右どちらかへ取られる症状は、決して軽く考えてはいけません。
私はディーラーや民間整備工場で約30年整備士として働いてきましたが、この症状で入庫する車は決して珍しくありませんでした。
特に10年以上経過した車や10万kmを超えた車では、ブレーキや足回りの部品が劣化して発生するケースが非常に多く見られます。
結論から言うと、最も多い原因はブレーキの片効きです。
片側だけブレーキが強く効くことで車が左右へ引っ張られ、ハンドルを取られてしまいます。
放置すると事故につながるだけでなく、修理費用も高額になる恐れがあります。
この記事では、整備士としての経験をもとに原因・診断方法・修理費用・放置する危険性まで詳しく解説します。
古い普通車でブレーキ時にハンドルが取られる4つの原因
古い車の場合は、ブレーキ本体または足回りのどちらかに原因があるケースがほとんどです。
① ブレーキキャリパーの固着(最も多い原因)
整備士時代に一番多く修理したのがブレーキキャリパーの固着です。
特に
- ピストン固着
- スライドピン固着
この2つが非常に多く発生します。
ダストブーツが破れて内部へ水分が侵入すると錆が発生し、ピストンが正常に動かなくなります。
すると左右どちらかだけブレーキが効きやすくなり、ブレーキを踏んだ瞬間に効いている側へハンドルが取られます。
初期症状では
- ブレーキの効きが悪い
- 焼けたような臭い
- ホイールだけ異常に熱い
などの症状が現れることもあります。
② ロアアームブッシュなど足回りゴム部品の劣化
古い車ではゴム部品の寿命も無視できません。
代表的なのは
- ロアアームブッシュ
- テンションロッドブッシュ
- スタビライザーブッシュ
などです。
ゴムが切れたり潰れたりすると、ブレーキ時の荷重でタイヤの向きが変化し、車が左右へ流れるようになります。
③ ブレーキローター・ブレーキパッドの偏摩耗
左右で摩耗量が違うと制動力も変わります。
特にキャリパーの引きずりを放置すると
- パッドだけ減る
- ローターだけ減る
- ローターが焼ける
といった状態になり、ブレーキ性能が左右で大きく変わってしまいます。
④ タイヤの空気圧不足・偏摩耗
意外に多いのがタイヤです。
左右で
- 空気圧が違う
- 偏摩耗している
- 古く硬化している
このような状態では、ブレーキ時のグリップ力が左右で変わるためハンドルが取られる原因になります。
まずは空気圧を点検するだけでも改善するケースがあります。
左右どちらへハンドルが取られる?簡単な見分け方
症状を観察すると原因のヒントになります。
左へ取られる
左側のブレーキが強く効いている可能性があります。
つまり右側キャリパーの固着やブレーキ不良が疑われます。
右へ取られる
右側ブレーキが強く効いている可能性があります。
左側キャリパーや足回りを重点的に点検する必要があります。
ただし、タイヤやサスペンションが原因の場合もあるため、自己判断は禁物です。
放置するとどうなる?
この症状を放置するのは非常に危険です。
特に高速道路では急ブレーキ時に車線を飛び出す危険があります。
また、
- ブレーキパッドの異常摩耗
- ブレーキローター交換
- ハブベアリング損傷
など二次被害につながることもあります。
早めに修理すればキャリパーのオーバーホールだけで済むケースでも、放置するとキャリパー交換まで必要になり修理代が倍以上になることも珍しくありません。
車検には通る?
ブレーキの左右差が大きい車は車検に合格できません。
車検では左右の制動力を測定します。
片効きがあると基準を満たさず不合格になります。
仮に車検直後でも症状が出た場合は、安全のため早めに整備工場で点検してもらいましょう。
修理費用の目安
| 修理内容 | 費用目安 |
|---|
| キャリパーオーバーホール | 20,000~35,000円 |
| キャリパー交換(リビルト) | 30,000~60,000円 |
| パッド・ローター交換 | 30,000~50,000円 |
| ロアアーム・ブッシュ交換 | 40,000~80,000円 |
※車種や部品代、工賃によって異なります。
👉「年式の古い車、走行距離の多い車は修理費用が高額になった場合、高額な修理費用を払っても、後々また別の場所が壊れるリスクは残ります。
修理費が高額になる場合は、売却という選択肢も検討してみましょう。
元整備士の視点でおすすめの車買取サービスを比較しています。
修理費用を安くするならリビルト品がおすすめ
古い車では新品交換になると修理代が高額になりがちです。
そのような場合はリビルト品が使えるか整備工場へ相談してみましょう。
リビルト品は内部部品を新品へ交換し、性能試験を行った再生部品です。
新品より安価で品質も高く、多くの整備工場で採用されています。
特にキャリパー交換では数万円安くなることもあります。
まとめ
ブレーキを踏んだときにハンドルが左右へ取られる症状は、ブレーキの片効きや足回りの劣化が原因であることがほとんどです。
特に古い車ではキャリパー固着が非常に多く、放置すると事故や高額修理につながる恐れがあります。
「少しハンドルが取られるだけだから大丈夫」と自己判断せず、早めに整備工場で点検を受けることをおすすめします。
早期修理なら部品交換を最小限に抑えられる場合も多く、安全面でも安心して愛車に乗り続けることができます。
よくある質問(Q&A)
Q1. ブレーキを踏むと左へ取られるのはなぜですか?
左側のブレーキが強く効いているか、右側のブレーキキャリパーが固着している可能性があります。タイヤや足回りが原因の場合もあるため、点検をおすすめします。
Q2. ブレーキを踏むと右へ取られる原因は?
右側のブレーキが強く効いている可能性があります。左側キャリパーの固着や足回りのガタなどが考えられます。
Q3. 少しだけハンドルが取られる程度でも修理した方がいいですか?
はい。初期症状でも放置するとキャリパーやローターが傷み、修理費用が高額になる場合があります。
Q4. このまま乗り続けても大丈夫ですか?
おすすめできません。急ブレーキ時に車が大きく流れ、事故につながる危険があります。
Q5. 修理はディーラーと整備工場のどちらがおすすめですか?
古い車ならリビルト部品を扱っている整備工場の方が修理費用を抑えられる場合があります。ただし、安全性を重視して信頼できる工場へ依頼しましょう。
*もし、修理費用が高額になった場合には車を買い替えたほうがお得になることもあります。
「愛車に乗り続けるために高額な修理をするのも愛着ですが、家計や今後のリスクを考えたら『手放す選択』も立派なメンテナンス(対処法)です。廃車手続きもすべて無料で代行してくれるので、一度査定に出してみてから決めても遅くはありません。」
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