パワーウインドウが突然動かなくなると、「窓が閉まらない」「雨が入る」「防犯面が心配」と焦ってしまいますよね。
私も30年自動車整備に携わるなかで、パワーウインドウの故障は何度も修理してきました。特に運転席だけ動かなくなるケースは非常に多く、その多くはスイッチやモーター、レギュレーターの故障が原因です。
本記事では、
- パワーウインドウが動かない原因
- 運転席だけ故障しやすい理由
- 応急処置
- 修理費用の目安
- 故障を防ぐ方法
を元整備士の経験を交えて分かりやすく解説します。
パワーウインドウが動かない主な原因
- ヒューズ切れ
- リレー故障
- スイッチ故障
- モーター故障
- レギュレーター故障
- 配線断線
- ガラスランの抵抗
- 初期化が必要
運転席だけ故障する理由
運転席は他の席に比べてパワーウインドウを動かす頻度が多いです。
機械という物は、動く回数が多いほど内部の摩耗も多くなるのが当然で、助手席や後ろの席はいつも人が乗っているとは限りません。車を動かす以上運転席には必ず人が乗っているので、必然的にパワーウインドウの動かす回数も多くなります。
運転席は毎日のように開閉を繰り返すため、他のドアよりも部品の摩耗が早く、故障する確率が高くなります。
パワーウインドウが動かなくなった時の点検方法
①全部動かない
パワーウインドウが全部動かない場合は、大元の不具合、つまりヒューズやリレーが考えられます。
但し、ヒューズが切れていた場合にはヒューズが切れる原因が潜んでいる場合もあるので、ヒューズ交換後にしばらく様子をみることも大切です。もし、ヒューズが頻繁に切れるようなことがあれば、どこかでショートの可能性もあります。
②一か所だけ動かない
パワーウインドウが一箇所だけ動かない場合は、スイッチ、モーター、レギュレーター、配線の可能性が考えられます。
例えば、運転席側のスイッチで助手席側のパワーウインドウが動いて、助手席側のスイッチで動かない、となれば助手席側のモーターやレギュレーターは異常無しということになり、原因は助手席側のスイッチ又はスイッチからモーターまでの配線が原因と考えられます。
反対に、運転席側のスイッチでは助手席側が動かないが、助手席側のスイッチで動けば運転席側のスイッチから助手席側までの配線の断線が考えられます。
どちらでも動かない場合には、モーター又はレギュレーターの故障となります。
このようにして点検していけば、ある程度故障箇所の特定は可能です。
スイッチはガタがある場合は接触不良の可能性も高くなるので、ガタの有無も重要な点検項目です。
何回かスイッチを操作してみて、動いたり動かなかったりする場合にはスイッチが原因の可能性が高くなります。但し決めつけは禁物で、モーター内部の接触不良の場合も動いたり動かなかったりする時があるので、スイッチを動かした時にモーターの入力部に電気が流れているかどうかを点検する必要はあります。
*パワーウインドウスイッチは自分でも交換することは可能です。
パワーウインドウスイッチの交換方法はこちら(車種はスズキアルトです)
パワーウインドウレギュレーターが原因の場合
パワーウインドウレギュレーターはドアガラスを上下させる部品で、ワイヤー式とアーム式があります。
古い車やトラックなどの大型車ではほとんどがアーム式でしたが、現在の乗用車ではワイヤー式が主流です。
アーム式ではギヤ部分の歯が欠けてしまったり、アームの部分が曲がってしまったりでパワーウインドウが動かなくなってしまうことが多く、ワイヤー式ではワイヤーが切れてしまったり、絡まってしまったりということが原因で動かなくなってしまうことが多いです。
どちらの場合もレギュレーターは交換ということになります。


パワーウインドウモーターが原因の場合
私が長年自動車整備をしていて、パワーウインドウが動かない原因で多かったのが、モーターの故障やレギュレーターの故障です。
この部分は頻繁に動作する部分なので、どうしても避けられない故障です。ある意味ブレーキパッドなどと同じように消耗品と捉えたほうがいいでしょう。
レギュレーターなどは一度壊れると復活することは無いのですが、モーターは内部の摩耗具合によっては動いたり動かなかったりすることがあります。
なので、パワーウンドウが時々動いたり動かなかったりする、となった場合にはスイッチかモーターの不具合が考えられます。
もし、突然パワーウインドウが下がったまま動かなくなってしまった、などといった場合にはモーター部分を手で軽く叩いてやると、復活して動く場合もあります。
無事にガラスが上がったらそのままにして後は整備工場でみてみてもらいましょう。
直ったと思ってパワーウインドウをまた下げてしまうと、今度は動かないかもしれないからです。
※モーターを叩く方法はあくまで応急処置です。再発する可能性が高いため、動いた場合でも早めに修理しましょう。
ドアガラスランが原因の場合

パワーウインドウが動かなくなる原因としては、ドアガラスランの硬化もあります。
ドアガラスランとは、ドアのガラス枠部分に設置されているゴムの部品で、雨水や埃や風を室内に侵入するのを防ぐ役割をしています。
その部分が経年変化で硬化したり、埃などの付着でガラスの上下時の抵抗になってしまうと、モーターに負荷がかかりモーターの機能が落ちてしまいます。
それを防ぐ為には定期的にガラスランの埃を取り除いたり、古くなって固くなってしまった場合には新品に交換することも必要です。
パワーウインドウを動かしてやや動きが重いな、と感じたらガラスラン部分の滑りをよくすることも大切です。
市販の潤滑スプレー(シリコンスプレーなど)をガラスランをきれいに掃除した後に吹きかけます。その時に車のボディにかからないようにマスキングテープなどでカバーしておくことも大切です。また潤滑剤ならなんでもいいわけではありません。普通の潤滑剤(スプレーグリスなど)を吹き付けてしまうとガラスが汚れたらり、グリスに埃などが付着して返って逆効果になってしまいます。
*シリコンスプレーはゴムを傷めにくく滑りも改善できます。
バッテリー上がりによる原因
バッテリーが上がってしまうと車種によってはパワーウインドウが正常に動作しなく、オートで動かした時に上まできちんと上がらないで途中で止まってしまったり、上まで上がったら勝手に下がってしまったり、といった症状が出ることもあります。
もし、そのような症状が出たらコンピューターをリセットする必要があります。
多くの車種では、車の電源をONにした状態でスイッチを一番下まで下げた後、完全に閉まるまでスイッチを引き続け、閉まり切ってから1〜5秒間そのまま保持することで完了します。
この作業は運転席側だけでなく全部のドアのスイッチで行う必要があります。
(注):車種によって初期化方法は異なりますので、取扱説明書を確認するか、整備工場で確認してください。
パワーウインドウの修理費用の目安
| 故障箇所 | 修理費用 |
|---|---|
| ヒューズ交換 | 500〜2,000円 |
| スイッチ交換 | 8,000〜25,000円 |
| モーター交換 | 20,000〜40,000円 |
| レギュレーター交換 | 25,000〜50,000円 |
| モーター+レギュレーターASSY交換 | 35,000〜70,000円 |
👉「年式の古い車、走行距離の多い車は修理費用が高額になった場合、高額な修理費用を払っても、後々また別の場所が壊れるリスクは残ります。
修理費が高額になる場合は、売却という選択肢も検討してみましょう。
元整備士の視点でおすすめの車買取サービスを比較しています。
パワーウインドウの故障を予防する方法
- ガラスランを掃除する
- シリコンスプレーを使う
- 動きが重くなったら早めに点検
- 異音を放置しない
(注):これらの予防策をしたからといって、完全に故障を防ぐことはできないですが、やらないよりはマシと言えます。
Q&A
Q. パワーウインドウが突然動かなくなることはありますか?
はい。モーターやレギュレーターは前触れなく故障することがあります。特に異音や動作が遅い症状があった場合は注意が必要です。
Q. 運転席だけ動かない原因は?
スイッチ・モーター・レギュレーターの故障が多く、運転席は使用頻度が高いため他のドアより故障しやすい傾向があります。
Q. モーターを叩くと直るのは本当?
内部のブラシが摩耗している場合は、一時的に動くことがあります。ただし応急処置に過ぎないため、早めの修理がおすすめです。
Q. パワーウインドウが途中で戻るのは故障ですか?
故障ではなく、バッテリー交換後などに初期化が必要な場合があります。車種ごとの手順で初期化を行い、それでも改善しない場合は点検を受けましょう。
Q. 自分で修理できますか?
スイッチ交換程度ならDIYできる車種もありますが、レギュレーター交換はドア内部の分解が必要で難易度が高いため、整備工場への依頼がおすすめです。
まとめ
パワーウインドウが動かなくなる原因は、ヒューズやリレーなどの電気系統から、スイッチ・モーター・レギュレーターの故障までさまざまです。
特に運転席は使用頻度が高いため故障しやすく、動きが重い、異音がする、時々動かないといった症状がある場合は早めの点検をおすすめします。
また、窓が開いたまま動かなくなった場合は雨漏りや防犯上の問題もあるため、無理に操作を続けず速やかに整備工場へ相談しましょう。
日頃からガラスランの清掃やシリコンスプレーによるメンテナンスを行うことで、モーターへの負担を軽減し、故障予防にもつながります。
