「アクセルを踏むと床下からガタガタ振動する…」
「タイヤがおかしいのかな?」
「走っていて車全体がブルブル震える…」
このような症状が出ると、「タイヤが外れるのでは?」「エンジンが壊れた?」と不安になりますよね。
実は、加速時だけ車体がガタガタ振動する場合は、タイヤや足回りではなくエンジンの力を後輪へ伝える部品が原因になっていることがあります。
今回は、私が実際に点検した事例をもとに、加速時の振動の原因だったプロペラシャフトの故障について、できるだけ専門用語を使わずに解説します。
加速するとガタガタ振動する原因はタイヤだけではない
車が振動すると、多くの人はタイヤやホイールを思い浮かべます。
例えば次のような原因です。
- タイヤの空気圧不足
- タイヤの偏摩耗
- ホイールバランス不良
- ホイールナットの緩み
- サスペンションの故障
もちろん、これらが原因になることもあります。
しかし、足回りに異常が見つからない場合は、車の下にある駆動装置を点検する必要があります。
実際の点検事例
今回入庫したのはFR(後輪駆動)の車です。
お客様からお聞きした症状は次のとおりでした。
- アクセルを踏むと床下からガタガタ振動する
- シートの下からブルブル響くような感じがする
- 普通に走っている時より加速時の方が症状が強い
まずはタイヤや足回りを点検しました。
タイヤ・足回りを点検
確認した内容は、
- タイヤの空気圧
- タイヤの偏摩耗
- ホイールナットの緩み
- サスペンション
- ブッシュ類
しかし異常はありませんでした。
そこで次に点検したのが、プロペラシャフトです。
プロペラシャフトとは?
FR車や4WD車には、エンジンの力を後輪へ伝えるための長いシャフトがあります。
これがプロペラシャフトです。
簡単に言えば、
「エンジンの回転を後輪へ伝える回転する棒」
と思っていただくと分かりやすいでしょう。
この部品が高速で回転することで車は走っています。
振動の原因はプロペラシャフトの関節部分だった

プロペラシャフトには、曲がった状態でも回転を伝えられる関節があります。
この関節を整備ではユニバーサルジョイントと呼びます。
人間でいうと「ひじ」や「ひざ」のような役割をしている部分です。
車は走行中にサスペンションが上下するため、プロペラシャフトも少し角度が変わります。
その動きをスムーズにしているのが、この関節です。
点検してみるとガタが発生していた
車をリフトアップしてプロペラシャフトを手で揺すると、後ろ側の関節部分に大きなガタがありました。
本来ならほとんど動かない部分ですが、
- ベアリングの摩耗
- グリス切れ
によって隙間ができていたのです。
この小さなガタでも、プロペラシャフトは走行中に何千回転も回転するため、大きな振動となって車体全体へ伝わっていました。
プロペラシャフトが原因の場合によくある症状
次のような症状がある場合は、プロペラシャフトの関節部分が原因の可能性があります。
| 症状 | 特徴 |
|---|---|
| 振動が出る速度 | 40〜80km/hくらいの加速時に多い |
| 振動する場所 | 床下やシートの下から響く |
| アクセルとの関係 | 踏み込むと振動が強くなる |
| 異音 | ゴロゴロ・ガタガタ・カンという音がすることがある |
一方で、タイヤのバランス不良なら速度が上がるほど振動も大きくなる傾向があります。
加速時だけ振動する場合は、駆動系を疑うことも重要です。
修理方法
修理方法は車種によって異なります。
関節部分だけ交換
部品だけ交換できる車種では、関節部分だけ交換できます。
費用の目安は約2〜4万円です。
プロペラシャフトごと交換
部品単体が供給されていない車種では、プロペラシャフト全体を交換します。
新品では約5〜10万円以上になることもありますが、リビルト品(再生部品)を使用すれば費用を抑えられる場合があります。
今回の車両もリビルト品へ交換し、試運転では振動は完全に解消しました。
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放置するとどうなる?
この故障を放置すると、
- 振動がどんどん大きくなる
- 異音がひどくなる
- プロペラシャフトが破損する
- ミッションやデフまで故障する
といった二次被害につながることがあります。
修理費が高額になる前に点検を受けることをおすすめします。
*実際に私が経験したなかでは、軽トラックなのですが走行中に突然走ることができなくなった、という依頼を受けて現場に到着したらプロペラシャフトのジョイントが外れてしまって、プロペラシャフトが落ちてしまっていた事例があります。
そこまでになるまでには、普段からガタガタとう振動や異音がしていたと思うのですが、気にすることなく走っていたのでしょうか。
当然走行することができないので、キャリヤカーで運んできました。
加速時に車がガタガタ振動する原因7選
加速すると車がガタガタ振動する原因は、今回ご紹介したプロペラシャフト以外にもいくつか考えられます。
症状によって原因が異なるため、代表的な故障を知っておくと早期発見につながります。
① プロペラシャフトのユニバーサルジョイントの摩耗(FR・4WD車)
今回ご紹介した故障です。
加速すると床下から「ガタガタ」「ブルブル」と振動し、アクセルを離すと症状が軽くなることがあります。
FR車や4WD車で発生しやすい故障です。
② ドライブシャフトの故障(FF車で多い)
FF車では前輪へ駆動力を伝えるドライブシャフトが傷むことがあります。
ジョイント部の摩耗やブーツ破れによるグリス漏れが進行すると、
- 加速時の振動
- ハンドルを切ると「カタカタ」「カチカチ」という異音
が発生することがあります。
関連記事→エンジンはかかるのに車が動かない!原因はドライブシャフト破損だった【実際の修理事例】」
③ エンジンマウントの劣化
エンジンはゴム製のマウントで支えられています。
このゴムが劣化すると、エンジンの振動が車体へ直接伝わるようになります。
特に、
- 発進時
- 加速時
- アイドリング時
に振動が大きくなることがあります。
関連記事→【整備士監修】車から異音がする原因と対処法|カタカタ・ゴトゴト音の正体とは?
④ タイヤのバランス不良・偏摩耗
タイヤのバランスが崩れていると、速度が上がるにつれて振動も大きくなります。
一般的には80~100km/h前後でハンドルがブルブル震える症状が多く見られます。
⑤ ハブベアリングの摩耗
タイヤを支えるハブベアリングが摩耗すると、
- 「ゴー」という走行音
- 車速に比例した振動
が発生します。
左右へハンドルを切ると音が変化することも特徴です。
関連記事→【プロ直伝】ハブベアリング異音の聞き分け方と症状!ガタつき確認法や費用も解説
⑥ ホイールナットの緩み
整備後やタイヤ交換後にナットが十分締め付けられていないと、走行中に振動が発生します。
非常に危険な状態で、最悪の場合はタイヤが外れる恐れもあります。
振動に気付いたら、すぐに安全な場所へ停車して確認しましょう。
⑦ デファレンシャル(デフ)の異常
FR車や4WD車では、デフ内部のベアリングやギヤが摩耗すると、
- 加速時の振動
- 「ゴー」「ウーン」といううなり音
が発生することがあります。
プロペラシャフトの故障と症状が似ているため、整備工場での点検が必要です。
症状別に考えられる原因一覧
| 症状 | 考えられる原因 |
|---|---|
| 加速すると床下がガタガタ振動する | プロペラシャフト、デフ |
| 発進時だけ振動する | エンジンマウント、プロペラシャフト |
| ハンドルがブルブル震える | タイヤ、ホイールバランス |
| カーブでカタカタ音がする | ドライブシャフト |
| 速度が上がるほど振動が大きくなる | タイヤ、ハブベアリング |
| ゴーという異音と振動がある | ハブベアリング、デフ |
まとめ
加速した時だけ床下からガタガタ振動する場合は、タイヤや足回りだけでなく、プロペラシャフトの故障が原因になっていることがあります。
特にFR車や4WD車では、プロペラシャフトの関節部分(ユニバーサルジョイント)が摩耗すると、今回のような振動が発生することがあります。
「加速すると床下がブルブル震える」「シートの下からガタガタ振動する」と感じたら、無理に乗り続けず、早めに整備工場で点検を受けましょう。
小さなガタでも放置すると修理費が大きくなる場合があります。早期発見・早期修理が結果的に車にもお財布にも優しい対策です。
